私が茶箱に出会った1998年頃に比べて、茶箱をめぐる環境は厳しさを増している。インテリア茶箱クラブを始めた頃にはまだあって、今はもうないものを簡単にあげてみた。
●茶箱専用の薄くて柔らかい班の入ったトタン(トタンは計3回変わった。いよいよトタン自体を別の金属に変えないといけなくなるかもしれない)
●茶箱専用の和紙テープ
●NoriL、25k、25ksというサイズ
●茶箱職人さんたちで作る「茶箱協会」。資材の共同購入やトタン職人さんの共同雇用などもしていたそうだ
材料も変化している。茶箱外材が杉というのは変わらないが、茶箱の内側の素材は現在のトタンになるまでにいろいろな変遷があったという。江戸時代、茶箱誕生当初にはトタンというものがない。和紙に柿渋を塗ったもので茶ばを包んで「雑箱」と呼ばれる木箱に入れていたらしい。また戦時中は金属が不足していたため、厚紙にアスというタールのようなものを塗ってしのいでいたこともあったとか。トタンも亜鉛板から鉄板に亜鉛メッキを施したものに変わっている。
さまざまな変遷はあれども、目指したのはひたすら「茶葉を新鮮に保つこと」。年月をかけた創意工夫は、茶箱に今も生きている。見えないところの拘り、細部への心配り。そんな職人技を後世に伝えたいと思う。
(有)インテリア茶箱クラブ パイザー真澄 寄稿文